【かーずSP】 西尾維新先生に訊く 「化物語」アニメ化記念インタビュー・前編

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「怪異」と呼ばれる不思議な何かに出会い、普通とは違う身体を持つようになった高校生・阿良々木暦(あららぎ こよみ)は、ある事をきっかけに、クラスメイト・戦場ヶ原ひたぎ(せんじょうがはら ひたぎ)の秘密を知ってしまう。彼女もまた「怪異」にまつわる悩みを抱えていた為に、阿良々木は彼女に協力を申し出たのだが……。
■”化物語”という素材をアニメスタッフさんがどう調理するのか、乞うご期待です
――アニメ化を初めてお聞きした時のお気持ちはいかがでしたでしょうか?
そもそもアニメ化の話は立ち消えることが多いので、『また西尾を騙そうとしているな』と疑っていました(笑)。でもその後、この話はどうやらマジらしいというのがわかってきたんですが、それにしてもなぜ『化物語』をセレクトしたのかが不思議でした。この小説をアニメにするのは無理だろうと思ったんです。と言いますのも、『化物語』はメディアミックス不可能な小説というコンセプトで書いたものだったからです。
2005年当時はちょうどライトノベルブーム真っ盛りで、新レーベル設立やメディアミックスなどのイベントが多かったんです。だからその流れに反して「アニメ化も実写化も漫画化もドラマCD化も出来ない、メディアミックス不可能な小説は果たして書けるのだろうか」という思いで、活字のみの力を信じた小説に挑戦したのが、『化物語』の上巻に収録されている第一話「ひたぎクラブ」だったんですよ。
ただ、このコンセプトは特に誰にも伝えていなかったので、アニメ化の話が進み始めた時に申し訳ない気持ちになってしまい、「いや『化物語』っていうのはそういう事が出来ない小説なんですよ。今のうちに止めておいたほうが良いですよ」と誠意ある態度を示そうと思ったんです。ですが、アニプレックスさんが新房昭之監督とシャフトさんでやってくださるということでしたので、それだったら問題ないだろうと。それどころかこんな光栄な話はありませんので、今は、このメディアミックス不可能に思われる『化物語』で、最上の料理を作って下さるに違いないと思っています。
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――アニメになったことで、新たに魅力的だとお感じになられた点はありますでしょうか?
忍野メメがかっこいいですね。小説とは違う見せ方になっていて、この切り口の違いが面白いです。忍野のビジュアルがチョイ悪風の金髪で、「そうきたか」というギャップ萌え的なものがありました。何故か忍野は小太りというイメージを持たれることが多いようで、そのイメージを持っているかたはアニメを見たときに驚かれると思いますが、ですが、それはそれで楽しめるんじゃないかと。
私の中にはキャラクターの明確なイメージは無くて、執筆時に頭の中にあるのは、あくまで活字、文字なんです。小説というメディアの一番強いところは、読者に想像してもらえる、イマジネーションの余地が莫大にあるというところなので、読んだ人が浮かべたイメージがすべて正解であると言う為に、私個人が確固たるイメージを持たないようにしています。もちろん小説の中にはビジュアル的な情報も書きますが、あくまでそれも活字情報でしかないので、それをどう組み立てるのかは読んだ人次第です。
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――アニメならではの期待しているシーンはありますか?
第1話のホッチキスを綴じるシーンは、「これは公共の電波に乗せていいの?」って(笑)。活字であれば、キツイのが苦手な人は苦手なりにマイルドにイメージすればいいわけですけど、あのシーンはモロに表現されていました。だから他にも、阿良々木君が八九寺真宵(はちくじ まよい)をボコるシーンとかどうするんだと……。まぁあれは原作に無いシーンですから。
――いえいえ、ばっちりあるじゃないですか!(笑)。 個人的には、神原駿河(かんばる するが)のエロトークもかなり気になります。
ええ、その辺り不安なところではあります。一ヶ月後には、倫理的な問題で別番組を再放送しているかもしれませんね(笑)。
(一同笑い)
――アフレコの様子はどうでしたか?
声のイメージも私の中には無いので、演じていただいたらそれが正解になるんですが、それを差し引いても皆さん流石だと思いました。
正直アフレコ前は、自分が書いた物を誰かが朗読する場面に立ち会うというのは、多少気が重かったんです。だって、読書感想文を先生に読まれたら気恥ずかしいじゃないですか(笑)。ですが、やっぱりプロの方の生きた声ですから、そんな心配の必要性は全くありませんでした。一流のプロフェッショナルの仕事というのは素晴らしいです。あのアフレコ見学は勉強になりました。
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取材・文:かーず(かーずSP)、ノトフ(はつゆきエンタテインメント)