2009年06月26日

【かーずSP】 西尾維新先生に訊く 「化物語」アニメ化記念インタビュー・後編

■原作ファン必読! 西尾維新が語る『化物語』キャラクター解説 




■原作ファン必読! 西尾維新が語る『化物語』キャラクター解説

――戦場ヶ原ひたぎは作中で「ツンデレちゃん」と言われてますけど、作品を書かれた時に、ツンデレやヤンデレというのは意識されていたのでしょうか?

 ヤンデレって言葉は当時あったんでしたっけ?

――『School Days』やアニメ『SHUFFLE!』で、言葉が一般化した時期でもあります。

 ああ、その頃なんですね。私は「ツンデレ」という言葉自体が面白いし分かりやすくて好きなんですよ。じゃあそれの究極系ってどんな感じだろうって事でトコトンまでキャラクターを掘り下げていったのが、戦場ヶ原なんです。『化物語』では、ひとつのキャラ付けをトコトンまで追求するというスタンスが顕著なんですけど、その結果、誰一人としてまともな友達がいなさそうな、まるで犯罪者じみた集団に……。

――(笑)。中でも一番やばいと思うのは羽川翼(はねかわ つばさ) だと思うんですが……原作の中でも最強のイメージがありまして。

 ええ、最強ですね。『偽物語』下巻でも若干触れていますけど、忍野でさえも羽川のことは何気に避けてますから。この子やばいなぁと思っていたんでしょうね。

――では、先生の一番お好きなキャラクターは誰なんでしょうか?

 私が一番好きなのは忍野メメです。コイツは大人の格好良さを極めているなぁと。ただ、その格好良さを描ききってしまったからこそ、『化物語』下巻で退場して頂いたというところがあるんです。逆に言えば格好良さがMAXなので伸びしろがもう無いんですよ。逆に八九寺あたりはまだ伸びしろがあるので、色々と登場してますね。

 でも、そんな中でも、阿良々木は書けば書くほど変態になっていくのがちょっと問題ですね。成長している反面、本性も現しているので、『偽物語』下巻以降では逮捕される可能性すらあるキャラクターになってしまった。きっとそのうち、妹か誰かから訴えられるんでしょうね。

(一同笑い)

――真宵ちゃんとの会話がノリノリで、先生の一番は彼女かと思いました。

 八九寺の場合は、阿良々木との会話が一番面白いというのが自分の中では大きくて、キャラクター性を無視したトーク性で言えば八九寺がナンバーワンです。だから、彼女は『まよいマイマイ』以降はストーリー的にはまったく出てくる必要が無いキャラなんですが、そういう意味合いで登場し続けていますね。



■西尾維新は短距離ランナー!? 西尾流創作術の極意に迫る

――ドラマCD『-佰物語-』(ヒャクモノガタリ)ではシナリオを担当されたとお聞きしましたが、いかがでしたか?

 シナリオは小説とは書き方がだいぶ違っていて、喋ったときに切れ味がよくなるような配慮をしました。ただ、その時点でキャスティングも決まっていましたので、もう私がどんなものを書いても皆さんが面白く仕上げてくれるはずという安心感もあり、気負わず楽しくやらせて頂きました。

 私は小説もテンションで一気に書き終わらせるタイプで、ドラマCDでは実際に100話を一日で書いたんです。それだけ聞いたら「速いね」なんですが、これを「二日で書いて」って言われたら無理なんですよ。短距離ランナーみたいな傾向があるので、速く書けるというより速く書くことしか出来ない。最近は腰を据えて書くことが出来ないというのは欠点だと思い始めています。

 執筆の基本スタンスはアドリブです。つまり、書いている時は読者と同じ気持ちで先の展開を楽しみにしていて、「どうなるんだろう、続きが楽しみだ!」という待ちきれない気持ちをモチベーションに小説を書いています。

結論も「こんな感じかな」というぼんやりとしたイメージはありますが、そこに辿り着くかどうかは一か八かみたいなところがあって、思い通りのオチになった小説は長編ではまずありません。短編の場合は数日で書くのである程度コントロールは効きますが、それでも当初思い描いていた結論とは違う事がほとんどです。特に『化物語』はそういう所を制御しようとしていないので、どんどん話が変わっていきました。

ストーリーやキャラクターはある意味細部でしかなく、それよりは活字一文字一文字の方が大事なんです。言葉遊びによって話が変わっていってしまうのですが、それはつまるところ詩とか俳句に近い形なのかもしれません。

――先生の貴重な創作の手法をお聞かせいただきまして感激です。最後に、アニメをこれからご覧になる方や原作ファンの方へのメッセージをお願いします。

 そうですね……人生苦しいこともあるだろうけども、そこを乗り越えればいいこともきっと待っている。今にくじけちゃいけない! 皆さんは未来を生きることができるんだ!

――生きるすべての人へのメッセ-ジになっちゃった!

 あぁ、いいメッセージを伝えようとするあまり目的を見失ってしまいました(笑)。

――では、改めて”視聴者や読者”へのメッセージを!

 原作ファンがアニメに触れた時や、アニメを先に観た方が原作を読んでくださった時に抱く、それぞれの違う切り口、ギャップを楽しんで欲しいです。色んな人にとにかく楽しんで頂けたらそれでいいので、あまり細かいことを気にせず、原作者からの意見なんて無視して楽しんでください。私も同じように一ファンとして楽しみます。

――本日はありがとうございました。

アニメ「化物語」は、TOKYO MX・毎日放送・テレビ愛知・テレビ神奈川・チバテレビ・テレビ埼玉・テレビ北海道・TVQ九州放送・BS JAPAN にて、2009年7月より放送開始予定。新たな『化物語』の幕開けを期待したい!

西尾維新先生に訊く 「化物語」アニメ化記念インタビュー・前編

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取材・文:かーず(かーずSP)、ノトフ(はつゆきエンタテインメント


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