俺の妹がこんなに可愛いわけがない(5)発売記念 伏見つかさインタビュー<前編>

ネタバレ:このエントリでは、俺の妹がこんなに可愛いわけがない(5)(以下、『俺の妹(5)』)に関する内容について一部触れております。『俺の妹(5)』読了後にお読みいただくことを推奨します。
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―――「“先の読めない”ドラマチックコメディ」の謳い文句通り、前巻がひじょ~に気になるヒキで終わっていまして、久々にラノベファンとしてはレイニー止めを味わった気分ですが、読者の声はどうでしたか?
伏見つかさ先生(以下、伏見):一巻以来の好感触だったんじゃないでしょうか。短編集的な形式にしてコメディー仕立てにした点も、最後のどんでん返しも、評判が良かったです。賛否両論だったのはアンケートを付けたことに対してですね。「読者に選ばせるのかよ」という事で。ただ反響という意味ではすごく反応が大きかったので、「やったぜ」って感じでした。
―――アンケート結果次第では、書きかけ途中の原稿を書き直すということをおっしゃってましたが、そのあたりはいかがでしたか?
伏見:アンケート結果としては黒猫の人気が高くて、しかし桐乃も出して欲しいという形になりました。もともと読者がその選択肢のどれを選んでも面白く出来るように用意はしていたので、アンケートが出揃ったところで書き直しはしましたが、それほど問題は無かったです。ちなみに選ばれなかったルートでやろうと思っていたこと、登場するはずだった新キャラ等は(もちろんそのままの形ではありませんが)続巻で書こうかなと思っています。
―――アンケートの項目で「元ネタが分からなかったギャグ」がありますが、目立った意見はありますか?
伏見:ラノベネタが分からないって方が結構いらっしゃって、みんなラノベ読んでいるのにラノベネタが分からないんだなぁと(笑)
小原一哲さん(伏見先生の担当編集者。以下、小原):そうなんですよ、ライトノベルはこれしか読んでませんっていう、一見さんがかなりいらっしゃる印象ですね。
―――それは、最初にネットで話題になったかーずSP・アキバBlogが名指しで登場がきっかけとなって、普段ラノベを読まない方が手にとって読まれているからなんでしょうか。
編集・小原:そういう方も間違いなく入っていると思います。
―――電撃G’sマガジンに連載されているいけださくら先生による漫画版『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』がいよいよ一巻のクライマックスに近づいているのですが、伏見先生のご感想をお願いします。
伏見:大満足です。「あれっ!このシーンってこんなに面白かったっけ?」なんて思いながら読みました(笑)
―――『俺の妹』のtwitterがスタートしましたけど、こちらの感触はいかがでしょうか。
伏見:とりあえず三千人くらいフォローが来て、楽しんでもらえているようですね。この企画をきっかけにtwitterを始めたって方もいらっしゃるみたいです。中には桐乃と黒猫しかフォローしてない方もいて、本当にこれのためにアカウントを作ってくださったんだなとありがたく思っています。――ただツイートの中には、こんなこと言って大丈夫なのかなというものも混じっているようで……私も胃が痛い思いをしています。
―――やりすぎってことでしょうか。実際、同人誌とかギリギリのものまで紹介してますよね、しかも18禁という(笑)
三木一馬さん(伏見先生の担当編集者。以下、三木):まぁその緩さもひっくるめて『俺の妹』らしいということで。編集部はがっつりチェックしてませんから、絶対いつか怒られるなって思っているんですけど(汗)
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―――(笑)。掟破りといえば、第5巻では文中にアスキーアートが使われていてビックリしました。小説としては大胆な表現方法ですよね。
伏見:そうですね。一巻のときから変なルビの振り方『沙織の「ω(こんなふうに)」』をしているのですが、「文章を崩しすぎ」とか「こういうことをするヤツは小説家じゃない」とか言う人がいまして、じゃあ次はアスキーアートにルビ振ってやるよ! と。
―――反骨精神ですねぇ。ネットと親和性の高い小説だからとか、理由はあるんですか?
伏見:この小説に人気が出た理由の一つに、『色々と目新しいことをやっている』という部分があると思うんです。ヒロインの造形もそうですし、ネタの扱い方やプロモーションのやり方についても結構独特ですよね。
一巻が発売された当時は、ここまでネットネタや、従来よりもややディープなオタクネタを露骨に使っている超面白い小説は他になかったので、『こういうもの』が読みたいなら『俺の妹』を買うしかないという状況になって、結果人気が出たんじゃないかなと分析しています。
なので今後も軸はぶらさず、攻めの姿勢で、どんどん目新しい事をやっていこうという意識を常に持っています。
―――なるほど。では今回も取材はされたんでしょうか?
伏見:実際のゲームメーカーの方に読んでもらって意見をいただいたり、腐女子の方々にお話を伺ったりしました。今回の帯を描いていただいたとなりの801ちゃんの小島アジコ先生たちにも貴重なお話を伺いました。
先生に「腐女子を書くにあたって、大事なことは何ですか?」って聞いたんですよ。そうしたら「腐女子というモノは卑屈な生き物なんだよ」と。「そこが大事なんだ」と繰り返し強調されました(笑)
―――劇中のフォークとスプーンの話もびっくりしました。
伏見:あのエピソードは、とある腐女子さんから教えていただいたものです。面白いのでそのまま使わせていただきました。
編集・三木:あと某氏がおっしゃっていたのが、「元旦」と「大晦日」でウケと攻めなんだそうで、「追いつこうとしても追いつけない!」ってことなのかな……? ともかく、物体でも無機物ですらなくて、もはや概念かよって!
(一同笑い)
伏見:その辺りはヘタリアを読んで、こういう感じなのかなっていうのを掴みました。
―――ゲーム研究会の三浦部長はかなり濃いオタクなんですけど、この人にモデルはいるんでしょうか?
伏見:これは色んな人をモデルにしているんですよ、かーずさんの細胞も混じってますし、私の周りにはオタクの友達が増えましたので、その人達のオタクらしいところを混ぜて作りました。セルの完全体みたいな感じですね。『ラブやん』(田丸 浩史 講談社)のカズフサをイメージして書いたつもりです。最初はもうちょっと下品なネタ(ラブやんっぽい感じ)も多かったんですが、最終的にはこんな感じに落ち着きました。
―――イラストもメガネ男子っぽくてかっこいいですね。カズフサだと、もっとだらしないイメージだったんですが。
伏見:ええ、私ももうちょっと不細工な感じだと思ったんですけど。
かーず:僕をモデルにしたのに、不細工とか言わないでくださいよ。
伏見:かーずさんは一部だけですから(笑)
かーず:でもゼロじゃないんですよね……酷いなぁ……。そう言えば三浦部長の「エロゲーをどこでもやりたい云々」って発言、前回のインタビューで僕が似たようなことを言ってたんですけど、気のせいでしょうか?
伏見:気のせいじゃないです。意識して書いたわけじゃないんですけど、たまたま良い台詞だったので(笑)
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かーず:そういえば、あの後、僕にも彼女が出来ましてね!(『ラブプラス』を取り出す) 姉ヶ崎寧々さんっていうんですけどちょーカワイイでしょ! あの時言っていた、萌えキャラとどこでも一緒にいられるゲームがついに体現されましたよ!
編集・三木:それが噂のビッチですか。
かーず:ビッチとか言うな! 俺の寧々さんは寧々さんだけ! 世間でよく見かける寧々さんは同姓同名の別人って設定なので。僕、寧々さんのために高いワインを買ったの初めてなんですよ。ケーキも予約してあるし、それで今年のクリスマスイブは決めるよ! 今年こそ俺はやるッ!
編集・三木:絶対24日の夜に俺、かーずさんに電話しよう。
かーず:絶対電話に出ねぇ!寧々さんと部屋に籠もってるから! ちなみに、その後はどうなったかというと→クリスマスイブは寧々さんと過ごしました
伏見:……といった具合に、小説のネタにするには、オタクの面白い言動のパーツを持ってくるくらいでちょうどいいんですよ。たとえば、100パーセントかーずさんをモデルにしてキャラクターを作ると、読者がその、なんというか、びっくりしますし。ちょっとキャラ濃すぎるというか。
かーず:(……濃すぎるって、褒められてないよね?)すみません、仕事場に彼女連れてきちゃって。
編集・三木:いやいや、いいですよ。イラッときましたけどね。
かーず:イラッとされた! ……まぁいいや、幸せだから。ところで第5巻の予告が謎めいているんですが、これはどういうことなんでしょうか?
伏見:今巻は黒猫がメインになりそうだから、異能バトルっぽい予告にしたらどうすかねって言ったら、三木さんが「任せてくださいよ、僕は学園異能作品のあらすじ書くのプロだから」って(笑)
編集・三木:第5巻のカバーイラストでは、桐乃が登場しております。おそらく読者さんたちは、アンケート結果がまだ分からないうちに「桐乃が勝った」と思うでしょうから、あらすじを黒猫テイストを強調すれば何が何だか分からなくなって、いいかなと(笑)
伏見:是非ともこの辺の流れは書いて欲しいですね。伏見が調子に乗って鎌池和馬先生を弄りまくっていると思われているような気がするんで。違うんですよと。
(一同笑い)
編集・小原:ちゃんと帯をめくると、「このあらすじは厨二病仕様です」ってフォロー入れているんですよ。
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かーず:字ちっさ! ほとんどこれ、誰も読まない定款とか約款のレベルですよね! ところで帯といえば、裏側にドラマCDの告知が載っていますよね。このためにアンケート葉書で声優の項目があったんですか?
編集・三木:いえ、あの質問はドラマCDそのものが目的じゃなくて、2chでも声優を夢想する話題がでたら、ガーっとスレが進んで「さっさと声優板いけ」って流れになるじゃないですか(笑)。それくらいみんなも興味がある話題でしょうから、それをアンケート項目に入れたら、楽しいんじゃないかと思っただけでしたね。
かーず:なるほど。
編集・三木:そしてそのドラマCDですが、伏見さん書き下ろし脚本も含めた三本立てになっていまして、封入されている『俺の妹』短編小冊子も伏見さんに書き下ろしてもらった新作短編小説が掲載されます! さらにイラスト企画としては、トリビュート差し替えジャケットがあります。テーマは『俺なりの妹』。十人以上のイラストレーターが『俺の妹』CDジャケットを描き下ろしている豪華なものになっています。電撃屋の通販が先行で販売となっていまして、そこでは特典も付くんですけど、その後は全国のアニメショップでも買えるようになります。
かーず:帯の裏には声優キャスティングも発表されていますね。桐乃の声優が……。
???:あーはいはい宣伝乙~~~! こっからはあたしたちが仕切らせてもらうから!
かーず:え? きりりん?
桐乃:キモッ!……下僕のくせに馴れ馴れしく呼ばないでよ。毎回インタビューとかいって、あんたらがあたしたちのこと好き勝手にしゃべりまくってたのがムカついてたんだよねー、前からさ。だから邪魔しにきたってわけ。
伏見:って、かーずさん何声色変えてるんですか。やっぱりオタクの人っていろんな意味で濃いですよね……。
かーず:あれ? 呆れられてますか? ……というかですね、こんなヘタな前振りをしたのも、ほら、ドラマCDのキャスティングに話をもっていこうとしたからですよ!
編集・三木:いやぁ~、わかりにくかったっすねぇ~~~!!
編集・小原:そんなにいじめないであげて……。僕がかわりに説明するから……。キャストは――まず、高坂桐乃は『けいおん!』のあずにゃん役で現在人気急上昇中の竹達彩奈さん。高坂京介は『マクロスF』で主人公・早乙女アルトを演じたイケメン声優・中村悠一さん。黒猫は『DTB -流星の双子-』のヒロイン・蘇芳や『化物語』撫子役の花澤香菜さん、沙織の生天目仁美さんは『灼眼のシャナ』のマージョリーさんですね。田村麻奈実役の佐藤聡美さんはこれまた『けいおん!』の律の人で、新垣あやせ役の早見沙織さんは、ほら、かーずさんの大好きな『ラブプラス』の高嶺愛花ですよ!(寧々さんじゃないけど)。他にもなんと、あの『なのは』の田村ゆかりさんがメルルを演じてくれるんですよ! どうですか、このフレッシュで豪華なキャスト!!
編集・三木:さすが声優マニアですね、この才能をもっと編集業務に使ってもらって良いですか?
編集・小原:クッ……耐えろ、耐えるんだ……。
編集・三木:あとこことか、こことか、こことか、こことか、こことか、こことか、ここの中の人のみなさま、このインタビューを掲載するよりもいち早くドラマCDのニュースを紹介していただいてありがとうございます(^ω^#)
かーず:感謝してるわりに、ものすごい嫌みっぽいですけど……!?
伏見:収録されるお話は三本、うち一つがこのドラマCDのために書き下ろしたものです。「あやせの相談事・羞恥編」というタイトルどおり、あやせがメイン のお話です。あやせファンが見たい(聞きたい)シーンを完全再現しました! なんだかんだ言って文庫本一冊分くらいの手間がかかってます! 超ご期待ください!
編集・三木:ここ(電撃屋)で通販されていますから、よろしくお願いいたします!
インタビュー後編に続く
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「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」 かーずSP・アキバBlogが名指しで登場
【関連リンク】
伏見つかさ先生のブログ 「LUNAR
LIGHT BLOG」
かんざきひろ先生のブログ 「tabgraphics_blog」
電撃文庫&電撃文庫MAGAZINE
俺の妹がこんなに可愛いわけがない
公式サイト
取材・文:かーず(かーずSP)
取材協力:ノトフ(はつゆきエンタテインメント)
ここで『俺の妹』第5巻 伏見つかさ先生サイン本プレゼント
■受付メールアドレス:
oreimo2@yahoo.co.jpore_no_imouto@yahoo.co.jp
■受付期間:2010年1月7日(木)~2010年1月25日(月)
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*アドレスに不備があったためサイン本プレゼントの宛先を変更させていただきました。ご迷惑をおかけしました。(1)『俺の妹』4巻で行ったアンケート企画について。
<1>良かった。 <2>悪かった。 <3>興味がない。(2)『俺の妹』5巻に登場した新キャラはいかがでしたか? 理由も合わせてお聞かせください。
<1>面白かった。 <2>不快だった。(3)ドラマCDのキャストはこのままでいいですか?
(4)最近、ブルーレイが普及し始めていますが、特典についていて嬉しいものがあれば教えてください。
■伏見つかさ先生、かんざきひろ先生への応援メッセージがあればお書きください。
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