【コラム・ネタ・お知らせ】ビジュアルアーツ創業20周年、その中で最もエポックな出来事だったのはKeyの移籍でした

とまあ、なんだかんだでもう20年も美少女ゲームに関わるビジネスをしているわけだが、その間にはスタッフが退社したり入社したり、嬉しいことがあったり思わぬトラブルがあったりと、本当に色々と経験しました。そりゃ20年もやっていれば、当然なんだけどね!
●第1回リンク「ちょこちょこっと作れると思ったのよ」●第2回リンク「とにもかくにも、ビジュアルアーツは始まった」
●第3回リンク「とにもかくにも、ビジュアルアーツは始まった」
そんな中でも、最もエポックになったのは直営ブランド(ビジュアルアーツの社員で構成されるブランド)の代表格である「Key」の移籍劇だと思う。
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今や知る人も多くなった、Keyのロゴ |
現在Keyの原画を担当している「樋上いたる」は、もともとVA(ビジュアルアーツ)の社員として1年ほどCGをやっていたんだ。で、退職してしばらくしたらTacticsさんで原画家としてデビューを果たしたとの話を耳にした。
その後またしばらくして......今度はVAに戻ってきたい、それも今やってるチームごと退職したいから、できれば全員の面倒を見てくれとの相談を受けたのだ。
…。
……。
………。

当時、その連絡を貰ったときはまさにこんな感じ ↑ でした。
今も昔もスタッフの移籍などこういった話はよくあり、それがまたメーカー間のトラブルのもとになる事も多いワケでして。私は警戒して
「きちんと退職してから来てくれ。辞めてからでないと話は出来ない」
さらに『辞めてから入社するとしてもお金で引き抜いたと言われるのが嫌なので、給料は一切アップさせない』、『しばらくは別の場所で独自に仕事してもらう』そう言い渡したのを今でも覚えている。
で、結局彼らはVAに来ることになったのだけど、やっぱりトラブルになりかけた。
理由としては......ブランド立ち上げに関して私がついそれを大々的に宣伝してしまったのだ。
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相手のお会社からすると、スタッフ離脱を大々的に宣伝されたようなもの。もちろん気分がいいはずもない。 私も今ならそれがよくわかる。とても申しわけなかったと思えるのだが......当時はこれから増えるであろう彼らを食わすため、Keyと言う名前を世に出すために必死だったのだ。
あるいは業界に台頭しつつあったVAの業績に思い上がっていた
のかもしれない。とにかくお恥ずかしいことに、他社を思いやる余裕はなかった。
結局、この時はTacticsの鈴木社長(現ネクストン代表 コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)理事長)の寛大さに助けられた。 これら一連の出来事についてご不快をネットで洩らされたことを聞き、私がお詫びのお電話をさしあげたのだが、こころよくお許しいただけたのだ。 さすがはやがて業界全ての舵をとるだけの方である。
鈴木社長、大好きです。
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ネクストン代表であり、コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)理事長の鈴木社長です |
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その後のKeyの活躍はみなさんの知る通り!
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Key10周年記念イベントで掲示したKey年表だ! これからもずっとKeyの歴史は刻まれ続けている |
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Key10周年イベントで販売したパンフレットにも年表が載っていたよ |
今では彼らKeyが、まごうことなきVA(ビジュアルアーツ)の大黒柱になってくれている。
私も業界では「Keyに食わせてもらっているVAKAしゃちょー」として有名になることができた。誠に光栄である。
次回はちょっと脱線して、ゲーム音楽と音楽集団「I've」について話しします!(あれ......未来はどこだ!?)
■樋上いたるサイン会&ポスター配布イベントのフォトレポート!
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ゲーマーズなんば店さんでの、樋上いたるサイン会会場。特設会場を作って下さいました! |
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参加された方からによるメッセージボード。最後には樋上いたるもこっそりコメントを |
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AKIHABARAゲーマーズ本店さんでのポスター配布イベントの様子です |
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配布はこんな感じでした |
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ゲーマーズなんば店さんでの配布様子 たくさんの人に起こし頂きまして感謝の極みです |
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コスプレイヤーさんがポスターを手渡し |
■vavaしゃちょーの人生相談
なお、このコラムの企画としまして、vavaしゃちょーの人生相談を行いたく思います。
私に相談がある方は下記メールアドレスまで、お気軽にお送り下さい。
ばっさりと切って捨てて差し上げます^^
VA(ビジュアルアーツ)や業界に就職したいとかばかりではなく、40歳主婦とかからの嫁姑問題や想像していない相談なんかもお待ちしております。 PCゲームに関係しない相談も大歓迎ですよ。
以下、前回頂いた人生相談のお返事です。
【ご相談】
30歳 会社員の私からの相談はこちら。
「仕事での部門間の調整がうまく出来ない」って点です。
利害関係が不一致している場合、双方が納得出来る落とし所に物事を運ぶには、どうすればいいのか、正直???です。特に双方の主張がどちらも間違ってない時なんて本当もうどうすりゃいいのか... ビジュアルアーツを引っ張ってこられたvavaしゃちょーの経験談が聞いていみたいです。
よろしくお願いします。
【回答】
いや、よくわかりますよ。弊社でもよくあることです。販売戦略上、営業は「もっと内容を開示して広告宣伝しようよ。 このままじゃ面白さが伝わらない。売れなきゃなにも始まらないんだから」制作は「いやいや、できるだけ内容を出さずにやりたい。そのインパクトが重要だ。でないとリピートやこの作品全体への評価に関わる」まさにどっちにも一理あり、正義があります。
その場合唯一の解決策は「双方が疲れて納得しちゃうまで話し合う」ということです。
なに、本当に優先すべき正義は誰にでもわかることなので、言い分が対立することなんてそうたいしたことじゃないのです。あなたもお気づきのように、大事なことは双方に不満を残さない『納得』なので、玉砕的に言いたいことを言い、5時間ほどえんえんと話し合えばなんとか着地点が見つかりますよ。時間の無駄とうんざりしてはいけません。それが人間なのです。
ところで私からもひとつ問題を出しましょう。
たとえばここに不定形のケーキがあるとします。それを2人の人間が互いにどうやったら納得できるよう平等に半分に分けれるか10文字以内で答えなさい。
単純であれ複雑であれ、人間にとって利害の調整はえいえんの課題ですね。
【ご相談】
はじめまして。「ミクキス」と申します。
私は三次元のAKB48メンバーの一人である渡辺麻友さんが大好きですが、渡辺麻友さんは二次元の男性が好みだそうです。つまり出会いのチャンスはまだ66.7%が残っているということでしょうか。
【回答】
渡辺麻友さんいいですねー。2次元しか愛せない、実際に執筆し商業誌に掲載されたそうですがもうご覧になったのでしょうか? 私も女性クリエイターは大変尊敬してしまうのですが、それが余って実際の仕事ではニガ手だったりもします。だって女性だってだけで尊敬の対象なのにその上クリエイター、尊敬の二乗です。
されはさておき、出会いの確率を高めたければあなたが絵を描くのが一番いいんじゃないですか?
ヘタでもいいので絵を描いてファンレターを送りましょう。最初はうんざりしたとしても、長く続けていればきっと密かな楽しみにしてくれるはず。絵の上達をほほえましく思ってくれたらもうこっちのものです。たまに来ないとまだかまだかと郵便の中にあなたの名前を探してしまう自分に驚くかもしれません。彼女のハートは心配と寂しさにぷるぷると打ち震えるはずです。同じ絵描きとして、あなたと会いたいと思うかもしれません。出会いのチャンスはまさに無限大です。
絵にはそれほどの影響力があり、継続には物事を動かす力が宿ります。
【ご相談】
はじめまして宇佐美と申します。
私は今、専門学校で看護を学んでいます。
今年は国家試験受験の年であるけれど、人生最後の学生でもあります。
そこで、社長は学生時代にこれだけはやっておきたかったことや、やっておいたほうがいいと思う事があったら是非教えて欲しいです。
お願いします。
【回答】
だらだら暮らす。たくさんの職(アルバイト)経験をする。
普通は社会人になったらなかなかできないことです。やっておいて損はないはずです。
そしてやるからには徹底的にやったほうがいい。3か月は無為に過ごし、また3か月はバイトする。それも同じ仕事はやらない。苦しそうな面倒そうなバイトをわざといくつも経験したほうがいい。いやらしい先輩やうざい経営者がいたら、それこそチャンスです。その経験が一生あなたを支えます。で、3か月分のお金が入ったらその金でまただらだらやる。人によってはだらだらするよりは旅行する方を好む人もいますが、それもいいと思いますね。
事実私はそうやって大学時代を過ごし、とてもいい経験になりました。
あなたは国家試験を控えており、学生時代はあと1年しかないということなのでなかなかそういうわけにもいかないでしょうが、どうか頑張ってください。80年の人生における、もっとも輝かしい一年にしましょう。
あと一度は家を出た方がいいですよ。最初はいろいろお金がかかりますが、これだけは親にねだってもいいんじゃないでしょうか? ボロアパートでもいいのです。なにより大切なことは圧倒的に足りない大人としての経験を積むこと。そして一人で世の中と対峙してみることです。一人になれば自然自分を見つめることになり、自分が見えてくるものです。
【ご相談】
入社2年目の者ですが、ゲーム関連の会社への転職を考えています。
昔からゲーム関連の会社で働くことが夢でした
別の業界で働いていてその夢を叶えたいという気持ちが強くなりました。
会社を辞めてゲームの専門学校に通いなおし、ゲームについて勉強し直して、新しい人生をはじめようかと思っています。
しかし、今から専門学校に通うとなると、短い期間の2年制の専門学校でも卒業するのは26歳です。
そのときに就活となるとこのご時世、厳しいのではないかとためらっています
このような考え方、VAVAさまはどう思いますか?
なにかご意見があったらお聞かせください。
お願いします
【回答】
やりたければやるべきだと思います。誰がなんと言おうとあなたにとっての世界はあなた次第なのですから。ゲーム関連会社なんて世にごまんとありますし、潜りこむのもそうたいして難しくありません。しかしいくつかアドバイスがあります。
第一に、専門学校は学校じゃない、ということです。あくまで就職するために通う学校であって通うことが目的なのではありません。極端なことを言えば入学したって就職さえ決まればその日のうちに退学すべき学校なのです。つまり、就職のためのアクション...求人にアンテナ張ったり履歴書書いたり面接に行ったり...は日々怠らないようにしましょう。卒業時期になったら学校側が斡旋してくれる、あるいは指導してくれる、なんて宛てにしていてはいけません。規模の大きくないゲーム会社の求人はいつも不定期でチャンスは一瞬、しかしちゃんとアンテナ立ててればいつもどこかに転がっているものです。
次にあなたが何を仕事とするのかはっきり決めましょう。それによって門が広がったり狭くなったりします。ゲームデザイナー、イラストレーターやシナリオライター、メインプログラマーなどは花形だけに競争も多いし高い技術も求められる。営業職も才能や経験しだい。オススメはグラフィックデザイナーやWEBプログラマーやサーバー技術者などです。この辺はゲーム会社にあまり専門家がいないので、狙い目でしょう。その会社に対するあなたなりの提案をいくつか持って自信たっぷりの顔して面接すれば高確率で入社できます。入ってしまえばこちらのもの、ゆっくり自分のやりたいことを勉強し、アピールすればいいだけです。
...え、面接が難しい?
ご冗談を。面接なんかどうってことないです。へらへら薄笑いしない。しっかり相手の目を見る。ハキハキした受け答えをする。それだけで十分です。家で練習しておきましょう。
【バックナンバー】・幹部脱退にすごく悩んだ結果が...今のビジュアルアーツです
・ビジュアルアーツの生い立ち。当時はたった1.2MBの記憶容量でゲームを作ったんだ......
・初めまして、ビジュアルアーツのvavaしゃちょーです