【コラム・ネタ・お知らせ】全年齢のエロゲに意味はあるのか?今回のテーマはエロ無しの作品。「全年齢作品」についてです

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ユッケを作るのに肉の表面を1センチを削るとしたら、その削った肉はドッグフードにでも回るのだろうか? それとも普通に廃棄しなきゃいけないルールなのか。ああ気になるっ!
いやま、そんなことはどうでもよろしい。(笑)
アキバBlogをご覧の読者のみなさま、コンニチワ。私vavaしゃちょーと申します。
今日はPCゲーム、とりわけ我等がアドベンチャーゲームの「全年齢作品」についてお話しさせてください。
【前回までのコラム】
第1回 / 第2回 / 第3回 / 第4回 / 第5回 / 第6回 / 第7回 / 第8回 / 第9回 / 第10回 / 第11回
◆萌えにはそれ自体価値がある
全年齢の美少女ゲームに意味はあるんでしょうか?
とか言っちゃうようならまだまだだね(笑)
ストーリーやキャラクターや萌えは、それ自体がファンタジーであって、そもそも価値があるものなのだ。
女の子(または男の子)とのみずみずしい出会いや、ほんわかした日常、友情、ハラハラドキドキする恋の展開は、別に誰かが殺人事件にまきこまれなくっても十分に青春の1ページだと思う。
オヤジやジジーが好み、愉しむ物語があるように、若者には若者のファンタジーがある。
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ビジュアルアーツからリリースした。全年齢向け美少女ゲーム達です どれも素晴らしい作品です! 18禁じゃなくても、笑って、萌えて、泣けるんですから! |
◆でも売れない。
『売れない』と言いきっちゃうと、元も子もないんだけどね(笑)
でも全年齢作品はなかなか売れない。これは事実だったりする。
需要があるはずなのになぜ売れないかと言うと、作品性がよりシビアに判定される上に、まだあまり全年齢の作品が文化として定着してないからだ。
あるメディアを定着させるためには一定の供給が必要となる。そういう意味でも先行しているメーカーとして、頑張って全年齢を売り続けなくちゃならない、と思う。
んで、ここらでまた昔話を(笑)
あれは2004年だっけか。私は「キネティックノベル」をビー・ビー・サーブさんと業務提携を結び、BBサーブのウェブサイトにおいて販売したことがある。
この時も全年齢作品をなんとか新たなPCゲーム文化として定着させたい、という私流のチャレンジでもあったんだけど、これがまあ笑っちゃうくらい売れなかったんだ。(笑)
Keyの新作としてリリースし、パッケージ版だと初回だけで4万本を突破した「planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜」も、一番最初に出したカード決済のDL販売版と言えば……
初日200本
だもんね。
いろいろ戦略が間違ってたみたい。(笑)
夢はまだ続く。ついにというかなんというか、とうとうビジュアルアーツのiPhone版エンジンがほぼ完成した。まずはこの作品からリリースの予定。その革命的な操作性の高さを、是非味わってもらいたい。※画面は開発中のものです |
今ではCLANNADや初期リトルバスターズ!、Rewriteはありがたいことに10万を超えるヒット作になり、ocelotさんの『ポリフォニカシリーズ』も常に万単位の売れ行きを示すようになった。 だけど、そうした一部のヒット作を除いて、まだまだ全年齢作品は苦戦しているんじゃないかな。と私は思っている。
なぜかって?
理由はいろいろあるだろうけど、一番の問題はコンテンツ自身のクオリティーが保障されないってことだろうね。
つまり全年齢ならば、ストーリーやキャラ部分により一層の価値がなければいけないわけで、ユーザーにとっても購入はリスキーなわけだ。本で例えると、作家も評判もわからないから、なかなか買う気が起こらないってことだろう。
その点、キネティックノベルとして一斉を風靡したocelotさんの『ポリフォニカ』シリーズは、著者である榊一郎先生のネームバリューもあって大いにヒットした。
Key作品以外の全年齢作品でも、いいものは売れるという事を証明した作品となったわけだ。
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ocelotさんの新作「ポリフォニカプラス」の一幕。手ブラ姿のコーティが……萌えるっ!! |
弊社以外ではCIRCUSさんの「uni.」のヒットが記憶に新しい。
全年齢作品は確かに売れにくいし、売りづらい。
だけど、決して「売れる可能性がない」わけじゃないんだね。
◆そこで未来への提案
全年齢作品をリリースする場合、買いたいと思ったときにすぐに買える環境を作ること、適正な価格が重要なのだと思う。
『適正な価格』とは低年齢のユーザーを見据え、できるだけ抑える必要があるということ。 経験的に言っても、全年齢作品は今までの価格設定で測れないところがある。その分、周辺利得で回収を図る方が今風だろう。
そこでこんなコンテンツを考えてみた。
ジャンル: | 連載形式のアドベンチャーマガジン |
価格: | 380円(創刊号は無料。その後も無料版は定期投下) |
レイティング: | 全年齢 |
コンテンツ: | 連載形式で6作ほど用意し、それらを12回にバラして毎月連載形式で販売。トータルで10時間ほど遊べるもの。 |
テーマ: | 萌え、出会い、日常、恋、サスペンス |
目標本数: | 月3000本 |
販路: | スマートホン |
制作費: | 1本あたり200万×6作品=1200万 |
売上: | 1ヶ月 380円×3000本=114万円 |
年間売上: | 114万円×12か月=1368万円 |
周辺利得
(1)完成版を単体で(リリースした6編をまとめて)販売
(2)作中で流れた楽曲の販売と、ライブ活動
(3)広告掲載
(4)ユーザー参加型カードゲームに誘導
どうだろう?
【補記】
その1
普通1つのメディアにはメインカルチャーに相当するものがあり、サブカルもある。アニメやコミックしかり。この場合アダルトは普通サブカルに分類されるものだが、PCアドベンチャーはメインに相当するものがなく、エロゲーがメインで大きな顔してるという不思議なメディアだ。
その2
同時にPCゲームはアニメやラノベに移植されて大ヒットしたりもする。これを見るに、おそらくはまだジャンルとして不完全なのだろう。まだまだ開拓の余地はあり、進化の可能性もある。全年齢作品もそのひとつ。
その3
とはいえ、全年齢作品がこれからもちゃんと作品としての一定のクオリティーを保持しているかどうか、それ自体の品質を問われることは当然である。
ただし、低予算とはいうものの、PCゲームを作るのにこんなに費用がかかるならアニメ作った方がまし、ってな作品もあって、業界はますます混沌としつつある。
その4
アニメといえば、私、京大アニメーション同好会さんのお招きで講演をすることになりました。
応募者多数は抽選なんだそうですが、ホント、私なんかで申し訳ありません。その分、きっと当選確実ですよっと(笑)
■あそべる!BD-GAMEの体験イベントを日本橋、名古屋でも開催しました!
「あそべる!BD-GAME」の体験イベントを、秋葉原に続いて日本橋と名古屋でも開催! 今回はその様子をお伝え致します!
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ソフマップザウルス1さまでの様子です。みなさん、BDゲームに興味津々? |
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Kanonをブルーレイでプレイ!あの感動もよみがえる!! |
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いろんな意味で話題となった「はじめてのおるすばん」 ……多くはふれないでおきましょう |
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イメージキャラクターも人気がありました! 「グッズは出ないんですか」とのお問い合わせも頂いちゃいました |
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こちらは名古屋の会場です! |
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当時の「さよならを教えて」のポスターも貼られていましたよ! |
【vavaしゃちょーの人生相談】
私に相談がある方は下記メールアドレスまで、お気軽にお送り下さい。
ばっさりと切って捨てて差し上げます^^
思ったより相談のお便りが少ないので、みなさんもっと遠慮なくお送りください(笑
どんな内容でもお待ちしております。PCゲームに関係しない相談も大歓迎ですよ。
以下、前回いただいた相談と回答です。
【ご相談】
Vavaしゃちょー様
初めてご相談させていただきます。
私、映像事業に携わっている者ですが、
『アダルトアニメ』に対するお考えを
お聞かせいただけましたら幸いです。
【回 答】
アニメは実際には存在しない、『世界』や『キャラ』や『動き』を表現してこそ価値があり、アダルト要素は情念を刺激してこそ価値がある。まさにジャンルに貴賤なし。
とは言うものの、時代によっても価値は変化するし、いろいろありますからね、一概には言えません。
今から約200年前の1820年、偉大な先人葛飾北斎が描いた「蛸と海女」、はよくもまあ当時の乏しい想像力でこんなこと描いたなあ、と誰しも思わずにいられませんね。
だって1820年と言えば文政3年、天保の改革で有名な天保のまだ前ですよ。そんな時代にお上の目を盗んでこんな、蛸が女性に、絡むとか、い、イヤらしい絵を流布させるなんて、な、な、なんてことを!
……ふう。取り乱しました。
御質問はなんですか?エロアニメについてですか?
いかに刺激的でいいものを安く作るか、それは制作者のアイデアとセンスにかかっています。
どうせやるなら、歴史にひっかき傷を残すぐらいのつもりで、斬新なものを創っていただきたいですね。北斎先生の弟子の末裔として。
【ご相談】
私は現在大学に通いつつ、ギャルゲ・エロゲ業界への就職を考えています。
メーカー様によってはグラフィッカー、原画家、それぞれ受けてみようと考えています。
しかし様々な不安があり、こちらでアダルトゲーム業界に詳しいしゃちょー様に相談ができるということで、参加させてもらいました。
この業界の就活に関して2つほどしゃちょー様にお聞きしたいことがあるので、どうぞよろしくお願いします。
(1)遠距離からの応募は敬遠されてしまうものなのでしょうか?
あるブログで、ギャルゲメーカーの求人募集に遠方からの申込みは嫌われると耳にしました。
私は現在京都に住んでいますが、多くのメーカーは勤務地が東京になると思います。
できれば卒業までは京都にいたいのですが(卒業後すぐに引越しは可能)、在学中に内定も欲しい、と考えています。
やはりメーカー様側から見て、遠方からの応募は受け入れ辛いものなのでしょうか。
(2)複数の会社を同時に受けるというのはやはり問題があるのでしょうか?
万一に複数社受かってしまった場合、第一希望以外の採用を辞退するというのはやはりメーカー様側からみて印象が悪いと思います。
一般企業への就活であれば多くの会社に同時にエントリーシートを提出している学生がほとんどだと思います。
しかしアダルトゲーム業界への就活は、一般企業とこのあたりは同じ感覚で行ってもいいのか少し不安に感じております。
アダルトゲーム業界へ就活しに来られる人間はどのような方が多いのでしょうか。
やはり思い入れのある1つのメーカー一筋で受験する方がほとんどなのでしょうか。
ビジュアルアーツ様に限らず業界全体への質問になってしまいましたが、ビジュアルアーツ様の例でもよいのでしゃちょー様の回答が頂けたら大変うれしいです。
コラムを盛り上げられるような質問ではありませんが、よろしくお願いします。
【回 答】
就活は企業と人の出会い系ですからね(笑)
多少の無理も背伸びも駆け引きもありでしょう。
企業にとっては出来るだけ広く案内を行い、全国から優秀な応募者を募りたい。就職する人にとっては出来るだけ多くの企業に応募しつつ、いい条件、将来性のある企業に入りたい。
その対等な関係の中で、掛け持ち応募もあれば、内定や試用期間もある。
(1)遠距離応募の際には就職が決まったら引っ越す予定である旨をはっきり履歴書に書く方がいいと思います。
でないとそれを確認する手間が企業側で増えます。書いてあれば、特に選考で不利になることはありません。
ちなみに当社では遠方の応募者の場合、試用期間の短縮や、その間の仮住まいの提供などをする場合があります。
(2)複数応募は当然だと企業側も考えています。それはこの業界においても同じです。
両方うかってしまったら、じっくり考えて片方をお断わりすばいいだけです。
礼を失せず、きちんとした対応を心がければ、なにも気にすることはありません。
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・初めまして、ビジュアルアーツのvavaしゃちょーです