2012年01月17日

パパのいうことを聞きなさい!SS第七回 「美しい羽」

パパのいうことを聞きなさい!SS 第七回「美しい羽」 おはようございます。松智洋です。本日17日夜はアニメ「パパのいうことを聞きなさい!」第二話の放送が始まります。物語が動き始める瞬間をお見逃しなく! 第七回になったこのアキバblog様での連載ですが、これからもアニメ放送翌日の水曜日を基本に最低週一以上を目標に書いていきたいと思いますので、応援の程、何とぞ宜しくお願い致します。


この一週間、twitterやwebの評価が気になって仕方なかったのですが、肯定的な意見、否定的な意見に関わらず、見てくださったすべての方に感謝したいです。

『パパのいうことを聞きなさい!』は僕と、なかじまゆか先生の二人で作った作品ですが、今では多くのクリエイターの皆さんが参加して、新たな息吹を得て育ちつつあるのを感じます。この流れはもう原作者の手を離れていますし、読者、視聴者の皆様によって選別されていく局面であって、作り手側が解説を加えすぎてはならない所まで来たようにも感じます。

せいぜい、こうしてアキバblog様や皆さんのお力をお借りして、宣伝に協力することくらいしか出来ませんが、どうか、これからもこの作品を楽しんで頂ければと思います。 しかし、こうして毎日連載していると考える事は沢山ありすぎて大変でした。 書くの自体も大変なのですが、どこまでなにを書いていいやら……毎日いろいろな事は起こるし、ネットのネタをどれだけ拾ってイイやら。 昨日も「やすお君お疲れ様」って書くの忘れちゃったし。判らない方はぜひニコ生のプレミアム配信で再放送をご確認頂ければ(笑)

僕は必死で書いて来ましたが、それでもやっぱりムラは出てしまったかな、と反省点も多いです。やはり編集さんのチェックは偉大です。ひとりでやると、やっぱりミスが多いですね。勉強にもなりましたが、これも糧にして面白い小説を書きたいと思います。

でも一番大変だったのはなかじまゆか先生でしょう。描き下ろしがここまでで七枚目です。びっくりです。ほぼカラーだったし……今回からは、さすがにモノクロになりましたが、アニメ、ゲーム、そしてもちろん小説と八面六臂の活躍をしてくださっているなかじまゆか先生のお力なくしてはこの企画はもとより『パパのいうことを聞きなさい!』自体が成立しなかったでしょう。にも関わらず「今日からモノクロですみません」と謝られてしまう始末……有り難いです。もともとこの企画は僕の我が儘で始めたので、各編集部様やなかじま先生に「なんとか描いてくださいませんか?」とお願いしたのがスタートです。

ご快諾頂いて、SSをお渡しして描いて頂いてみたら……まさかのカラーでした。 一応、言っておきますが、さすがの僕もカラーで描いて欲しい、なんて無茶は言ってませんよ? なのに「せっかくなので頑張ります」と言ってここまで描いてくださったのです。頭が上がらないとはこのことです。これからも二人三脚で頑張っていきたいと思います。

さて、本日17日はアニメ「パパのいうことを聞きなさい!」第二話がtvk様、TOKYOMX様、テレビ愛知様で放映されます。物語は二話目にして、大きなターニングポイントを迎えます。 小説においても最も難所であった部分に差し掛かる訳で、僕も緊張しながら放送を迎えることになると思います。第二話には、それだけ物語の核になる要素があるのです。 原作をお読みの方にとっては既知のことですが、アニメ放送を楽しみにしておられる方には事前に予断を与えすぎてはよくないので、本日はこの程度に留めます。 出来ましたら、御視聴頂ければ幸いです。

◇告知 18日はエンディング主題歌『Coloring』発売日です!

パパの言うことを聞きなさい!エンディング主題歌「Coloring」

堀江由衣さんが歌うエンディング主題歌『Coloring』が明日18日発売です! 初回限定盤はDVD付! DVDには"Coloring"MUSIC CLIP収録! しかも各所で店舗特典もあるとか……かなり豪華な感じです。

第一話ではアニメ中には流れませんでしたが、第二話にはきっちり入ってます。監督渾身のエンディング演出で、とても素敵なエンディングになってますよ。 アニメを見て気に入ったら、ぜひご購入頂ければと思います。

僕も単なるいちオタクでして堀江さんのCDは結構持っているのですが、今まであまり聞いたことのない堀江さんに感じました。パパ聞き!に興味はなくても、聞いてみる価値はあると思いますよ! そして聞いたらパパ聞き!も確認してみてください。堀江さんには、超絶美人役でご参加頂いておりますので。そういえば迷い猫にも出て頂いていたのですが、その時も重要だけど変わり者のヒロインでした。何かご縁を感じますね(笑)



◇キャラクター紹介 「仁村浩一」

裕太と仲の良い同級生・仁村浩一
アニメ公式サイト・キャラクター紹介

仁村浩一は、モテモテのイケメンです。いつも違う女の子と一緒にいます。

先日のSSでも書いたように、如才なく気の利く男であり、義理人情にも厚い好人物です。中の人である小野Dさんも仰っていましたが「本当にもてる男は人たらしである」という感じで、男女問わず、こんな友達がいたらいいな、と思うような人物だと思います。 家事万能でこまめ、そして世話好きです。ちなみに原作でも何故仁村がこんな人物になったのかはまだ書いていません。いつか書きたいとは思っているのですが……設定はあるんですけどね。なかなか書く機会がなくて。いつか書きたいと思っています。

YJ版の漫画では、女の子を脱がす要員として大活躍、クッキー版では美羽を助けてくれる王子様役として大活躍しているという、男女で見え方がまったく違うところも面白いです。ぜひ、二つの漫画を見比べて男子視点と女子視点で優秀なイケメンがどう映るか、違いを楽しんで頂ければと思います。

彼は祐太に取っては大学で一番の仲間であり、頼り頼られる存在です。祐太にとっては一緒に悩んでくれ、困った時には手を貸してくれる友人。仁村にとっては……なんというか、女で失敗した時にかくまってくれる仲間であり、裏表なく自分を見せられる数少ない仲間というところでしょうか。 彼ら二人の友情は、パパ聞き!の世界にとって非常に大切な要素でもあります。

仁村の持つ多面性と友情の厚さを、ぜひアニメ、小説、漫画でご確認頂ければと思います。



◇SS第七話「美しい羽」

「美羽ちゃん、今日はオレと一緒に公園でも行かない?」
「それよりボクと一緒に図書館でも……」
「だったら俺と駅前に!」
 目の前には鈴なりの男の子たち。
 彼らに笑顔を向けてから、美羽は手を合わせる。
「今日はあたし用事があるんだ。寄り道もできないし、帰ってからも出かけられないの、ごめんねー、みんな」
「じゃあ、せめて一緒に帰るだけでも!」
 そんな勇者の問いに、美少女は無敵の笑顔でとどめを刺した。
「ものすごく大事な人との用事だから急いでるの♪」
 教室には灰となった男子たちの屍が残るのみだった。

 美羽は駆け足で住宅地を移動していた。
 さすがにクラスの半分以上の男の子たちをさっさと振り切るには、あれくらいのインパクトのあるセリフでないと切り抜けられない。
 ……にしても、ちょっと爆弾発言だった自覚はある。
 明日の反応はどうなっているか。
「でも、大事な人っていうのは嘘じゃないもーん♪」
 その人のためなら、美羽はちょっとくらいの無理ならがんばってしまえる。多分、相手も同じように色々と美羽のためにがんばってくれる。
 そんな風に思いあえる大事な、大事な人だ。
「うーん、約束までに間に合うかな? ……あと五分だし、危ないかも!」
 美羽は慌てて走るスピードを早めた。

「ただいまー! 間に合った?」
 扉に体当たりするようにして中に飛び込むと、約束の相手は玄関先で準備万端にして待っていた。
「大丈夫、間に合ってる!」
「ごめんなさいー、あたしギリギリで」
 謝るとその人は、美羽の頭をポンと優しく撫でる。
「それじゃデパ地下セールに行ってくるから、ひなのことを……!」
「うん。ちゃんと見てるからがんばってきてね、祐理さん!」
「まかせて!」
 美女がガッツポーズを取った。
 美羽の二人目のママであり、大事な家族である祐理こそが、美羽の約束した相手だ。
 だから『大事な人』と言ったのは(ちょっと語弊はあっても)嘘じゃない。
 心の中でペロリと舌を出す。
「じゃあ、いってきまーす!」
 つむじ風のように出て行った美女の後ろ姿に声をかけておいてから、改めて玄関先にいるもう一人の『大事な人』に向き合う。
「ただいまー、ひなー」
「おかえーなさーい、みうねーたん」
 にぱっと笑うその姿は、まるでひまわりみたいに可愛い。
「あおねー、きょうはほいくえんがおひるまでえー、ひな、はやくかえってきたお。だかあね、ままとおひるごはんたべたお!」
「そうなんだー?」
 嬉しそうに報告する妹を抱き上げる。
 保育園はたまに午前中で終わってしまい、祐理の予定と被ってしまうことがある。そんな時には姉の空か美羽が、こうして妹と一緒にお留守番をするのだ。
 それは美羽にとって楽しい時間だ。
「さーて、なにしてあそぼうかー」
「おえかきー!」
 手をあげておねだりするひなに、美羽は頬ずりした。

 祐理は『デパ地下! THE・女の戦い』なるものを見事勝ち抜き、2時間後に帰宅した。
 その結果は今夜の美味しいすき焼きとなって現われる予定だ。

「おにっく、おにく。おいしいおにくをたっべるんだおー♪」
 ご機嫌なひなの歌声が浴室に反響する。
 まだ父の信吾は仕事から帰っておらず、ひなのお風呂当番は美羽となっていた。
「ひなとお風呂に入れなかったって、お父さんが男泣きしそうだけどなー。でも残業があったらしかたないよねえ?」
「しかあないおねー?」
 美羽と同じ仕草でひなが首を傾げてみせていると……。
『おおうっ! ひなのお風呂は……っ!』
『お父さんが遅いから、もう美羽と一緒に入ってるよ』
『メールで伝えたでしょ、信吾さん』
『だから急いで帰ってきたのに……っ! 今日はパパの日だったのに……っ!』
 廊下の方からは、帰宅したばかりの父が嘆く声と、呆れた感じの姉と祐理の声が聞こえてきた。
『ひなとは明日一緒に入ればいいでしょ。そうそう、今夜のご飯はすき焼きよー』
 宥める祐理の言葉で父が落ち着いていく姿は、見ていなくてもわかってしまう。小鳥遊家ではよくある光景なのだ。
「あたしたちみたいな大きなコブ付きのオジサンなのに、お父さんってば愛されてるなー」
 すき焼きは信吾の好物だ。
「ねーたん、こぶつきってなにー?」
「コブ付きって言うのはー……」
 バツ2子持ちの父と祐理との結婚を、最初は色々言う人もいたらしい。幼心に美羽も心配したような記憶がある。
 けれども、そんなの今では関係ない。
 誘ってくるたくさんの男の子たちを振り切って、家に飛んで帰るくらい、美羽は家族が大好きだ。
「祐理さんがあたしたちを大好きだって思ってくれて、あたしも祐理さんが大好きだから、家族みんなで幸せになってることだよ!」
「ふうーん!」
 よく判っていないようだけど、美羽の笑顔につられてひなも笑ってくれる。
「えへへー、なんか幸せだなー♪」
「ねーたん、どうしたお?」
 尋ねられたけれども、はっきり言える程の何かがあるわけではない。
 でもとにかく楽しくて、おかしくて、気持ちがいいのだ。
「なんでもなーい♪」
 すき焼きのつまみ食いをしたらしい父が祐理と姉から叱られている声がする。そして続くのは明るい笑い声だ。
 お風呂から上がればそこに美羽とひなの声も混じるだろう。
 家族五人の小鳥遊家は、今日も明るい幸せに満ちている。
 この幸せがいつまでも続くことを、美羽はお風呂の中で確信していた。
 だって美羽は、美しい羽と書く。
 パパと、今はいないけれどママがつけてくれた名前だ。
 気持ちに、綺麗な羽を持っていられれば、みんなに優しくなれる。
 笑顔でいられる。
 そしてそれが、いつも自分を大切にしてくれる友達や家族にできる最大のことだと、この美しい少女は、心の底から判っているのだった。


【バックナンバー】
パパのいうことを聞きなさい!SS第一回 「BOY MEETS GIRLS」
パパのいうことを聞きなさい!SS第二回 「小鳥遊家の約束」
パパのいうことを聞きなさい!SS第三回 「彼女に彼氏がいない訳」
パパのいうことを聞きなさい!SS第四回 「ママとひな」
パパのいうことを聞きなさい!SS第五回 「イケメン無双」
パパのいうことを聞きなさい!SS第六回 「何事も形から?」
パパのいうことを聞きなさい!SS第七回 「美しい羽」
パパのいうことを聞きなさい!SS第八回 「莱香妄想(YJ風)」
パパのいうことを聞きなさい!SS第九回 「初めてのパンチラ」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十回 「空ちゃんのアルバイト志願」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十一回 「ひなとぬいぐるみ」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十二回 「新子胡桃の溜息」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十三回 「ファーストコンタクト」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十四回 「ひとりでできうもん!」
パパのいうことを聞きなさい!SS番外編 「三姉妹のお願い」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十五回 「プールの日」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十六回 「ひとりの時」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十七回 「そして始まりの時」
パパのいうことを聞きなさい!SS第十八回 「ゲーム発売記念・お掃除頑張って!」
アニメ『パパ聞き!』放映記念! 松智洋先生インタビュー(前編)
松智洋先生インタビュー(後編)

【関連リンク】
アニメ「パパのいうことを聞きなさい!」公式サイト
パパのいうことを聞きなさい!ポータル
スーパーダッシュ文庫 / 「パパのいうことを聞きなさい!」
PSP「ゲームでも、パパのいうことを聞きなさい!」

◇本文・松智洋
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◇イラスト・なかじまゆか
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